リレーコラム
最低賃金の減額特例を就労支援の起爆剤にする
おがるの加藤潔です。しぶとく五回目の登場となりました。今回は(勝手に命名)加藤潔の提言シリーズ第3弾「最低賃金の減額特例を就労支援の起爆剤にする」をテーマに、厚生労働大臣の目にとまることを期待して書いております。まあ目にとまることはないんでしょうけれど、期待するのはタダですし、期待は人生を前向きにする良薬です。「どうぜだめでしょ」よりも「もしかしていけるかも」と」考える方が人生楽しいですから。
ちなみに提言シリーズ第1弾は「発達障がいで町おこししてみませんか?」、第2弾は「少子化対策は発達障がいをも救う」でした。第3弾の今回は(今回も?)賛否両論巻き起こりそうな内容かもしれませんが、どうぞ気楽に読み流してくださいませ。
最低賃金の減額特例はいいこと?よくないこと?
最低賃金は、原則として常勤・臨時・パート・アルバイトなど雇用形態や呼称の別なく、すべての労働者とその使用者に適用されます。最低賃金の額は地域によって異なり、北海道は平成25年10月18日から734円に上がります(その前日までは719円)。
最低賃金は働く人の権利として当然守られるべきものです。しかしながら、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭める可能性がある労働者には、使用者が都道府県労働局長の許可を受けて最低賃金の減額が特例として認められるということが最低賃金法第7条に書かれています(実際にその方の労働力を審査して減額率が決められます)。
この最低賃金の減額特例に関しては、肯定派と否定派に分かれるような気がしているのは加藤だけでしょうか。肯定派はおそらく「最低賃金が決められていることで、その金額に見合う労働を提供できないかもしれないと判断されてしまうと雇用のチャンスは0になる。ならば現状の労働力に見合った賃金で働き始めた方がいい」というスタンスに立っています。否定派はおそらく「最低賃金は人権としての砦である。最低賃金をそう簡単に崩すべきではないし、減額特例を悪用する使用者もいるかもしれない。あくまで最低賃金遵守が原則である」というスタンスに立っています。どちらも正解ですし、どちらか一方に偏るべきものでもないでしょう。しかしながら、加藤が思うのは、最低賃金の減額特例が就労支援の中で選択肢のひとつとしてあまり活用されていないのではないかということなんです。そういう意味では、加藤は肯定派に属していると言えます。
身の丈で働くことへの尊厳と日本人の民度への信頼
最低賃金をあえて減額するという選択は、人権という見地から考えるとそりゃリスキーですし、できることならそうならないほうがいいですよ。それは加藤も思っています。でも、最低賃金に見合う労働を提供するのは難しいけれど、賃金は下がるかもしれないけれど、今の力量でも働けるということの価値を優先するほうが、その先のステップアップにつながるのではないかと加藤は信じています。
そして、いつまでも減額のまま働くのかという危惧については、労働基準監督署なりその他の関係機関なりが審査を定期的継続的に実施していくことになるはずですから、労働力に応じた適正な賃金保障のためのセーフティーネットは絶対にかかります。特例は特例であって常例にはしないというのが制度の原則ですしね。
それでも搾取しようとする使用者がいたら・・・「倍返しだ!」 でも、「お・も・て・な・し」文化のある日本人の民度を加藤は信じています。
賛否両論はあるでしょうけれど、最低賃金の減額特例がもう少しクローズアップされてもいいんじゃないかなあと思っている加藤でした。
文責 札幌市自閉症・発達障がい支援センターおがる 加藤 潔